2016年9月28日星期三

いものは明


「時間はあります。また明日来ようと思います。あなた日もここにいますか?」
「ええ。10時の開館時間にはここに来ています」
「良かった。では、また明日来ます」化にいを食べるようにと、昔から主治医に言われている。

主治医の逢坂は、真剣な表情でじっとカルテとCT映像を見つめていた。

「はい、どうぞ~。先月ぶり男士不育だね、相良君」
「よろしくお願いします……」
「うん。もっと早くに会いたかったなぁ」
「?……あの?」
「相良君、可愛いからさ、目の保養だったんだよ~。なんで、もっと早く診察に来なかったの?」
「予約日が今日だったので……」
「あ、そうか~」
彩が近寄って来て、ひょいと顔を覗き込んだ。
見つめる優しい視線に晒されていると、何だか今を逃してしまうと、もう二度と機会はないような気がする。一度、涙もろくなった涙腺は、歯止めが聞かなかった。

「おれ……先輩の事、尊敬……してます。好きでした、ずっと。」

「里流。」

「……迷惑かけるつもりはありません。でも、最期だから打ち明けます。先輩がいたから野球続けられました。これまで毎日付き合って下さって、ありがとうございました……」

彩は、目の前で必死に言葉を選んでいる後輩が、初めて野球部に入った時の事を思いだしていた。
二人の在籍する高校は、県下でもいわゆる進学校として名を知られた、偏差値の高い公立高校だった。
心配する母と、しょっちゅう口論のようになっていた。
本当にこのまま続けるのは無理な微量元素のかもしれない。口答えしながらも、体力のない自分が情けなかった。
周囲に迷惑をかけ続け、先輩からもうお前は辞めろと、引導を渡される前に、自分から辞めますと言った方が良いのかもしれない。そう思うと目の奥がじんと熱を持つ。

「あの……」

これ以上迷惑を掛けたくないから、野球部を辞めますと言いかけて、言い淀んだ里流の顔を、彩はじっと見つめた。

「俺は……片桐は、よく頑張っていると思うぞ。」

「……はっ?」

「そんなこと言うわけないだろう?片桐は大事な部員の一人だ。何しろ9人しかいないんだからな、一人欠けても困る。うちのチームは、全員レギュラーだぞ。」

「……小学校の時からずっと周囲に、運動はやめておけって言われてきたし、中学の時もスコアラだったし、高校でも……同じかなって、諦めかけてた所だったんです。レギュラーなんて、考えたこともなかった……」

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